singalong!

日記と、観た舞台についての文章を書きます。ロンドンにいます。

【ミュージカル】HEATHERS(ヘザース)ハイスクールは地獄。それでも、私は私たちの善性を信じる

いくつか書き溜めてある好きなミュージカルの紹介を小出しにしていきます。

 

今回は HEATHERS (ヘザース)、2023年9月までロンドンのWest End で上演、10月までUKツアー。初演は2014年のオフブロードウェイ。

 

こちらはWest End での初演(2018年)の時のトレーラー。(いきなりジリリリリというベル音から始まるので、苦手な人は最初音量小さめにして大丈夫そうだったら音量上げてね。)

https://www.youtube.com/watch?v=EK9KJT3rK4I

初演より後のキャストのものを含め何パターンかトレーラーはあったんだけど、このバージョンが一番ヘザースの持ってる雰囲気を醸し出している気がした… というか、私がこのちょっとダークな雰囲気推しのトレーラーが好きなだけかもしれない。また書くけれど、ヘザースはこのダーク、ポップ、シリアスの塩梅が絶妙で、好き嫌いは分かれるかもしれないけど一度ハマるとめっちゃ中毒性が高い。と思う。私はもう抜け出せない。

 

 

物語は主人公のベロニカの独白から始まる。”September 1st, 1989, Dear Diary.” ここがめっちゃかっこよくて好きで、ここから始まるバージョンのトレーラーを探しました。

聡明で、優秀な大学からの入学許可証を待ち侘びながら残酷なスクールカーストを息を潜めてやり過ごしているベロニカ。劇中冒頭の “Beautiful” では、彼女は祈るようにして歌う。「自分は善い人間だと思ってる」、「みんなが善性を持ってるって信じてる」、「この世界は本当は美しくなれるはずって信じてる」…。でもベロニカがいるのは80年代のアメリカのハイスクール、ここで生き延びるには人の良さや人の良さじゃ足りないらしい。いわゆるスクールカーストのトップに君臨するのは意地悪、という言葉はかわいすぎると思うほどえげつなく意地悪であるお嬢様集団「ヘザース」(全員名前がヘザーだから)、そしてアメフト部の花形選手のラムとカート。ベロニカ曰く ”huge heart” を持つ親友のマーサは彼らにしきりにいじめられている… ここまで書くと、ちょっと暗そうではあるけどなんだ、やっぱり学園もの「あるある」じゃーん、と思われるかもしれない。しかしこの「あるある」な秩序は謎の転校生 J.D. の登場で一変する。謎の転校生とか書いちゃうとまたあるあるじゃーんになってしまうのだが、JDの独特のピュアさと突き抜けた「ヤバさ」(とだけここでは書いておく…)がベロニカの高校生活とウェスタバーグ高校の未来を予想のつかない方向にギュンと変える。この作品が他のハイスクールもののミュージカル(プロム、ミーンガールズとか)と決定的に違うのは、ハイスクールを「なんだかんだ楽しげなところ」として描いていないところ。作品を通して前提になっているのは「ハイスクールは地獄」である。え?そんな学園もの面白いのかって?え、面白そうじゃないですか?

 

続く!

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