ミュージカル『カムフロムアウェイ(原題:COME FROM AWAY)』から。
日本初演の東京公演が終わる前にこのミュージカルについてやんややんや書きたいと思っていたのに、東京公演終わってしまった… 全国ツアーはまだ続くみたいなので、本当に少しでも多くの人に届いてほしいと思う作品。私にとって、人に勧めたいミュージカルとしては一番かもしれない。
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カムフロムアウェイあらすじ
2001年の9.11のテロ事件発生を受けて、カナダの端の小さな島・ニューファウンドランドに38機の飛行機が緊急着陸した。飛行機に乗っていた人たち約7000人(と動物たち)を受け入れ、普段のほぼ2倍の人口を抱えることになった島で起こる5日間の物語。
日本公演のサイト:
https://horipro-stage.jp/stage/comefromaway2024/
ちなみに私は日本語公演はみることができてないので、下の訳詞は原詞以外の事前インプットなしです〜
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“Stop the World” は、同じ飛行機に偶然乗り合わせ、ニューファウンドランドに滞在することになり、数日のうちに徐々に心を通わせるようになったニックとダイアンのデュエット。別れを前にして逡巡する曲。
原曲:
2023年1月のロンドン公演ロングラン千秋楽を前にして公開された映像。
このカンパニー、この作品との時間を少しでも長く過ごしたい、それでも行かなきゃいけないんだよね… という制作側のセルフラブレターみたいな動画で、この曲のニックとダイアンの心情にばっちりリンクしている。ところどころに挟まれるモノクロの稽古風景とか、最後の舞台写真とかがいちいちエモーショナル。曲と歌詞がそもそもエモーショナルなのに。こんなん刺さらないファンいるか?泣いちゃうでしょ...
私はこのカンパニーで作品を何回か観劇したのだけど、この動画に出ているキャストの方のニックは人の良いちょっと疲れたサラリーマン、ダイアンは好奇心の強い姐御っぽい感じで、その組み合わせがとても好きだった。
ニック:
時を 世界を
止めて この瞬間をずっと
閉じ込めて そう このまま
今が過去になる前に
この場所で
世界は出会った
この写真に
彼女は永遠に
(台詞)
ダイアン:
時を止めてよ
彼が行ってしまう前に
夢は 終わり
1人になる わかってるでしょう
でも ここで
世界はそう一度だけ
一つになって
別れた 永遠に
時を(ニック:時を)
止めて (ニック:止めて)
どうか
2人:
このまま
ほら見て
ずっと探してた何かがここにある
出会いが
この空 この海
伝えたい あなたに
写真に 閉じ込めよう
この時 この場所
海の向こう
川越えて
このままでいたい
お願い
〜〜〜〜〜
歌が進むにつれて、Stop the World, という歌詞の繰り返しがデュエットとして重なっていくのが、2人の心情の重なりを表しているようなのがエモーショナルで大好き。
元の歌詞がStop the world なので、タン、タターン、みたいな跳ねる感じのある3音。ニックの歌い出し ”Stop the world, take a picture” を「時をとめて」にしてはみたけど、とーおめーて、になってしまうので語呂は微妙な気がする。あと、9.11の事件で世界が日常が止まった、というこの作品の背景とか、写真を撮るのが好きなニックがスナップショットのようにこの風景全体をとどめておきたい、と歌っていることを考えると、止めたいのは時ではなく世界だと思うんだよね……。
2人のデュエット部分の「ずっと探してた何かがここにある」以降は解釈・意訳入りまくり、ここのメロディー好きなので気持ちよく歌えそうな感じと言葉の良さを優先してしまった。ずっとさがし、て、た、な、に、か、がーーこーこにあーーーる、みたいな感じ。この後からぶわーーーーって景色が広がっていくようなメロディーと言葉の乗り方が本当に好きなのです。
2人のソロの終わりを永遠に、で揃えてみたり、最後の「このままでいたい」と「お願い」は原詞(~of the river, of the trees / Stop the world, please)と韻を揃えてみたり、原曲の意味とか聞こえとかニュアンスのリンクを大事にしたつもりなんだけど、やっぱりこの3音で stop the world というパンチ力は英語のものだな!!訳せないね!!でもトライして楽しかった。